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東京高等裁判所 昭和57年(行ケ)155号 判決

一 請求の原因一ないし三の事実(特許庁における手続の経緯、本件特許発明の要旨及び審決の理由の要点)については、当事者間に争いがなく、出願公告すべき旨の決定謄本の送達までに本件特許発明についての出願当初の明細書及び図面が補正されたものが本件特許明細書(その内容は出願公告公報と同じ)であることについても被告の明らかに争わないところである。

そして、成立に争いのない甲第二号証によれば、本件特許発明は、弧度の性質を利用した衿腰に切替えのある衿に関するもので、従来の感覚的な工程にたよるしか方法のなかつた衿の構成を弧度法の原理を利用した作図によつて完成させようとするものであることが認められる。

二 取消事由に対する判断

1 符号Yについて

前掲甲第二号証によれば、本件特許明細書における符号Yが「衿つけ同位線での片身分衿付円と衿外回り円の円周差」を指すこと、右「衿つけ同位線での片身分衿付円と衿外回り円の円周差」とは、着用したときの衿つけ同位線(「衿つけ同位線」の定義の明確な記載がないことについては、後に説明するとおりである。)での片身分衿付円と衿外回り円の円周差をいうこと、別紙図面(一)第4図(ロ)(ハ)(ニ)及び第5図において、点8は前中心基礎線F(胴幅線に対して垂直関係)と総合肩傾斜線S(前後の肩傾斜の和の<省略>で、上りのネツクポイントPを通り総合肩傾斜度に合わせて引かれた線)との交点、点9は点8よりF線の延長線上に衿腰の高さに等しい長さをとつた点、点10は点9を中心とし衿幅を半径とした弧線とS線との交点、点11は点8より垂直線を出して9、10を結ぶ線との交点であること、背広服の着用時の正面から見た図である第4図(ハ)についていえば、点9、8を結ぶ線は衿腰、点9、10を結ぶ線は折衿、<省略>の長さが衿つけ同位線でいう衿付円と衿外回り円のなす円の半径差であるから、頭上から断面図によつて点8を通る衿付円と点8を通る水平面上での衿外回り円(11点を通る円)の関係を示すと、第4図(ニ)の如く、肩上では距離(右半径差の寸法)を保つているが、後身と前身の部分では両円は接近しているため、衿つけ同位線での衿付円と衿外回り円の円周差を求めるには真円の場合における二つの同心円の円周差の計算式はそのまま当てはまらず、

1×半径差×3.14=円周差

なる式の成立することが実験によつて明らかになつたこと、右円周差Yの値を作図によつて求めるには、前記のように、衿つけ同位線でいう衿付円と衿外回り円のなす円の半径差は<省略>の長さと同じであり、Yが片身分であるところから、

<省略>

として求めるものであることが、いずれも本件特許明細書に記載されていることが認められる(なお、本件特許明細書には「衿つけ同位線」について明確に定義した記載はないが、以上の記載内容からして、本件特許明細書にいう「衿つけ同位線」とは、衿つけ線と同位、すなわち、衣服着用者の首を正円錐台とみなした場合、該円錐台の中心線と円錐台の底面とが直角に交わる面の延長上にある線を意味するものと解される。)。

前掲甲第二号証、成立に争いのない第三号証の一(出願当初の明細書及び図面)によれば、審決が摘示しているように、出願当初の明細書において、符号Yは「衿つけ同位線での台衿(衿腰と同じ、以下「衿腰」という。)と衿巾の円周差」を指すものと記載されていること、衿つけ同位線での衿腰と衿付円、衿つけ同位線での衿幅と衿外回り円とは同じものであるから、右「衿つけ同位線での台衿と衿巾の円周差」は本件特許明細書における前記「衿つけ同位線での衿付円と衿外回り円の円周差」と実質的に同じものを意味すること(以下、両者とも「衿つけ同位線での衿付円と衿外回り円の円周差」と表現する。)、本件特許明細書において「片身分」としたことは、衣服の衿を製図する場合、通常は片身で行うことを考慮に入れて「片身分」と断わり書きしたにすぎないものと認められる。また、出願当初の明細書及び図面における点〔1、2、3〕が本件特許明細書及び図面における点(8、9、10)に相当するものであることについては、当事者間に争いがなく、前掲甲第三号証の一によれば、出願当初の明細書及び図面には、右点2を中心に点1と点2を結ぶ直線の長さを半径とした弧線が点2と点3を結ぶ直線と交わる点を4とした場合、点1、4を結ぶ直線の長さを衿つけ同位線でいう衿腰と衿幅円周のもつ半径差と想定して、Yの値を、

Y=半径差(1,4)×3.14

として求める旨の記載(八頁六行ないし九頁四行及び第三図抜萃)のあることが認められる。

そこで、本件特許明細書におけるYと出願当初の明細書におけるYとを比較するに、前者の式は2で除されているのに対し、後者の式は2で除されていない点及び前者は、点9、8、11を結んでできる直角三角形の底辺<省略>の長さをもつて半径差とするのに対し、後者は、点1、2、4を結んでできる二等辺三角形の底辺<省略>の長さをもつて半径差とする点で両者は差異があるものと認められる。

以上の差異のうち、本件特許明細書におけるYが2で除されている点についてみるに、Yは片身分円周差であるため2で除するものであることが本件特許明細書中に記載されていることは前示のとおりであり、したがつて、出願当初の明細書のYを求める式は片身分の作図であることを考慮にいれていない誤つたものであると解されるが、出願当初の明細書及び図面においても全て片身分の作図を前提として説明がなされていることが前掲甲第三号証の一によつて認められるところから、右の点の誤りは明細書の他の記載部分からみて誤記であることが明白であるものと認めるのが相当であり、この点の補正がなされたことによつてYを求める式の技術的内容に実質的な変更があつたものと解することはできない。

次に、本件特許明細書における半径差と出願当初の明細書における半径差の長さの違いについてみるに、本件特許明細書における点(8、9、10)が出願当初の明細書における点〔1、2、3〕に相当するものであることは前示のとおりであるから、前者の直角三角形の直角を挟む他の一辺(<省略>)の長さと、後者の二等辺三角形の等辺〔<省略>〕及び〔<省略>〕の長さはいずれも等しく、また、前者の直角三角形の頂角∠8、9、11と後者の二等辺三角形の頂角∠1、2、4とは角度が等しく、したがつて、前者における半径差((<省略>)の長さ)は、いかなる場合にあつても、後者における半径差(〔<省略>〕の長さ)よりも長いことは明らかである。しかしながら、長径を異にする二つの楕円の円周差につき、

1×半径差×3.14=円周差

とする計算式が数学的に証明された厳密な計算式でないことは明らかであり、また、前示のとおり、本件特許明細書にも右計算式は実験によつて得られた計算式である旨が記載されているから、「衿つけ同位線での衿付円と衿外回り円の円周差」は、その寸法の求める作図の具体的方式に意味があるものではなく、その寸法値を得ることに意味があるものであると解するのが相当であり、その寸法値の求め方が必ずしも厳密な計算式によるものでない以上、求められるべき寸法値においても多少の許容幅があるものと解すべきである。そして、前掲甲第二号証及び甲第三号証の一によれば、本件特許明細書における直角三角形の頂角∠8、9、11及び出願当初の明細書における二等辺三角形の頂角∠1、2、4は共に衿幅の前中心基礎線に対する折曲角度であることが認められるから通常は30度以下の鋭角であると解されるため、両者にいう半径差は寸法値的にほとんど差がなく、これによつて算出される両者のYの値もほとんど差のない右許容幅の範囲内のものであると解することができる。

以上によれば、衿つけ同位線での衿付円と衿外回り円の円周差の算出方法及びその値が異なるとの理由をもつて出願当初の明細書及び図面と本件特許明細書及び図面との間に要旨の変更があつたものということはできず、この点に関する原告の主張は理由がない。

2 本件特許明細書及び図面における点15、22と出願当初の明細書及び図面における点14、15との対比について

(一) 前記の本件特許発明の要旨によれば、本件特許明細書及び図面(別紙図面(一)第5、第6図)における(点15)及び(点22)はいずれも衿の折返り線3の延長線上の定点である(点13)及び(点14)を基準点として一定の作図によつて求められる点であることが明らかであるところ、右(点13)は出願当初の明細書及び図面(別紙図面(二)第四ないし第六図)における〔点6〕に、右(点14)は出願当初の明細書及び図面(別紙図面(二)第四図)における〔点7〕に、それぞれ相当することについては、当事者間に争いがない。

そして、右(点13)は「上りの前はし線と任意な衿の折返り線3との交点をDとし、D点を通り前衿ぐり線Eに引いた切線との交点をTとすると共に該点からTから前記衿の折返り線3に垂線を下して交点を12となし、点12より衿の折返り線3の延長線上に点Tから最深み点までの長さに等しい長さ」でとつた点であり、(点14)は「更に該延長線上に点13より衿腰の高さに等しく」とつた点であることは、本件特許発明の要旨のとおりであるが、更に、前掲甲第二号証によれば、(点13)は衿の折返り線3の曲りのポイントとなる点であつて、この点を基準として、弧度の原理を利用した作図作業によつて(点14)ないし(点18)を順次求めたうえで(点12)から(点16)に至る折衿の折返り曲線部分を作図し、もつて願書添付図面第5図(別紙図面(一)第5図)のとおりの折衿の作図をなし、また、同じく(点22)ないし(点25)を順次求めたうえで(点12)から(点23)に至る衿腰の折返り曲線部分を作図し、もつて願書添付図面第6図(別紙図面(一)第6図)のとおりの衿腰の作図をなすことが、本件特許明細書及び図面に開示されていることが認められる。

(二) そこで、まず、本件特許明細書及び図面(別紙図面(一)第5図)における(点15)について検討する。

本件特許発明の要旨によれば、右(点15)は、(点13)を中心とし、(点13)と(点14)を結ぶ直線の長さ(衿腰の高さ)を半径とする円弧を描き、この円弧上に、(点14)から円弧の長さが「(弧度区間×片身分衿付円と衿外回り円の円周差)+(弧度区間×衿腰の片身分上下円周差)」、すなわちtY+tg(t、Y、gの意味は次に述べる。)の長さに等しくなるように、衿折返線側に求めた点である。そして、前掲甲第二号証によれば、本件特許発明における折衿の作図(第5図)は

<省略>

(aは衿腰の高さ、tは弧度区間、gは衿腰の片身分上下円周差。なお、弧度区間とは、衿止り点Dから衿ぐり線Eに引いた切線Tから後衿ぐり中心Gまでの曲線区間と衿ぐり線Eの半円周との割合(第4図(イ)参照)、衿腰の上下円周差とは、衿腰が首に沿つた円錐台形とみて、その上下の二つの半径差をもとに前記Yの値を求めた式と同様の式によつて計算した値。以下同様とする。)

なる式で表わされる折衿の曲率によつてなすものであり、<省略>は弧度の半径、<省略>は折衿弧度の弧長であることが認められる。

一方、審決が右(点15)に相当すると判断した、出願当初の明細書及び図面における〔点14〕についてみるに、出願当初の明細書添付図面第六図(別紙図面(二)第六図)の〔点14〕と第四図(同図面第四図)の〔点8〕とが同一の点であることについては当事者間に争いのないところ、前掲甲第三号証の一によれば、右〔点8〕は、本件特許明細書及び図面における(点13)に相当する〔点6〕を中心とし、衿腰の高さ(すなわち、〔点6〕と〔点7〕を結ぶ直線の長さ)を半径とする円弧を描き、この円弧上に、本件特許明細書及び図面における(点14)に相当する〔点7〕から円弧の長さをtYの長さに等しくなるように衿折返線側に求めた点であることが認められる(九頁六行ないし一七行及び第四図)。なお、右甲第三号証の一によれば、出願当初の明細書には、「<省略>糎……弧度の弧長」なる記載が存するが(九頁七行)、弧度の弧長は弧度区間(t)に対応した衿腰と衿幅の円周差(Y)と解されるから、弧度の弧長は「弧度区間×衿腰と衿幅の円周差」(tY)が正しく、したがつて、<省略>はtY=mの誤記であることが明白である。

以上によれば、本件特許明細書及び図面におけるYの値と出願当初の明細書及び図面におけるYの値とがほぼ同値とみるべきことは前示のとおりであり、したがつて、本件特許明細書及び図面におけるtYの値と出願当初の明細書及び図面におけるtYの値もほぼ同値となるものであるから、(点14)からtY+tgの距離にある本件特許明細書及び図面における(点15)と、(点14)に相当する〔点7〕からtYの距離にある出願当初の明細書及び図面における〔点8〕すなわち〔点14〕とは、異なる位置を示しているものと認められ、右(点15)は〔点14〕に相当するとした審決の判断は誤つたものであるといわざるを得ない。

しかしながら、前掲甲第三号証の一によれば、出願当初の明細書及び図面には、「上り衿巾展開図形曲率作図」の説明(一二頁三行ないし二〇行及び第六図)として、衿幅の折返り線は、衿腰の外輪にあるためその外周差分だけ衿折返り線を長くすること(すなわち、用材の厚味に比例する外周差θ糎を衿腰の折返り線に加えた寸法をもつて衿幅側の折返り線の長さとすること)に加えて、前記<省略>(<省略>に同じ。)の上り線に対し更に

<省略>

を付加して<省略>を作図する旨の記載が存するところ、右のうち弧度を付加する理由については、同明細書上は必ずしも明確ではないことが認められる。ところが、成立に争いのない乙第一号証(一九六四年一一月三日裁断学研究会発行「裁断学研究会会報」)によれば、同号証には、片身分上下円周差<省略>をもつ台カラーに対して、カラーは<省略>の弧度に<省略>の弧度(aは衿腰の高さ。<省略>は台カラーの付け同位線での片旨分台カラーと外回りカラーの円周差)を加えて作図することが示されていること(一四七頁、一五〇頁及び一五五頁)、同号証にいう「台カラー」「カラー」「台カラーの付け同位線での片身分台カラーと外回りカラーの円周差」は出願当初の明細書における「台衿」「衿幅」「衿つけ同位線での台衿と衿幅の円周差」にそれぞれ相当するものであることが認められ、以上によれば、本件特許発明の出願当時のカラーの作図においては「衿つけ同位線での台衿と衿幅の円周差」を基礎とした弧度と「台衿の上下円周差」を基礎とした弧度とを加えた弧度によつて作図することが普通に行われていたものということができるから、出願当初の明細書及び図面において衿の折返り線(〔点6〕、〔点7〕を通る延長線)を基準としてその線上から「衿つけ同位線での台衿と衿幅の円周差」を基礎とした弧度<省略>をとつて作図した前記<省略>(<省略>に同じ。)の上り線に対し更に付加した弧度<省略>は「台衿の上下円周差」を基礎とした弧度、すなわち<省略>を意味するものであると解するのが相当である。

そうすると、前記の出願当初の明細書中の「<省略>……θは用材に比例した台衿に対する外輪分」との第六図の説明に関する記載におけるθは弧長tgを意味するものであり、〔点19〕は(点13)に相当する〔点6〕を中心に<省略>の長さ(衿腰の高さ)を半径とする円の円弧上の(点14)に相当する〔点7〕から円弧の長さがtY+tgの長さに等しくなるように衿折返線側に求めた点であると解することができるから、本件特許明細書及び図面における(点15)は、出願当初の明細書及び図面における〔点19〕に相当するものであり、本件特許明細書及び図面における(点15)の作図方法は出願当初の明細書及び図面にも実質上開示されているものということができる。

(三) 次に、本件特許明細書及び図面(別紙図面(一)第6図)における(点22)について検討する。

本件特許発明の要旨によれば、右(点22)は、(点13)を中心とし、(点13)と(点14)を結ぶ直線の長さ(衿腰の高さ)を半径とする円弧を描き、この円弧上に、(点14)から円弧の長さが「弧度区間×衿腰の片身分上下円周差」、すなわちtgの長さに等しく衿外回り側に求めた点である。そして、前掲甲第二号証によれば、本件特許発明における衿腰に切替えを設け衿付け線と折返り線との円周差を正すための作図(第6図)は、衿腰の曲率<省略>ラジアンによつてなすものであり、<省略>は衿腰弧度の半径、<省略>は衿腰弧度の弧長であることが認められる。

一方、審決が右(点22)に相当すると判断した、出願当初の明細書及び図面における〔点15〕についてみるに、前掲甲第三号証の一によれば、〔点15〕に関し<省略>と記載されていること、右の式は、本件特許明細書及び図面における(点13)に相当する〔点6〕を中心とし、衿腰の高さa(すなわち、〔点6〕と〔点14〕を結ぶ直線の長さ)を半径とする円弧を描き、この円弧上に、〔点14〕からの直線の長さが「台衿の衿付け線と折返り線の長さの寸差g」に等しくなるように、衿外回り側に求めた点が〔点15〕であるとして、説明していることが認められる(一〇頁一九行ないし一一頁一一行及び第五図)。そして、右甲第三号証の一によれば、gは実物製品から推測したりワイシヤツ台カラーの上下円周差から類推したりすると記載されていることが認められるから、gが本件特許明細書にいうtgに当たることは明らかである。ところで、右〔点15〕が、出願当初の明細書の「衿腰展開図形(曲率)の作図法」(一〇頁一九行ないし一二頁二行及び第五図)において、(点22)と同様衿腰の折返り線<省略>(点16は<省略>の延長線上の点)の作図のための点であることは右甲第三号証の一から明らかであり、したがつて、同点が衿の折返り線(〔点6〕、〔点7〕を通る延長線)を基準としてその線上から弧度が取られるべきものであることは明白であるから、同点は、本件特許明細書の(点13)に相当する〔点6〕を中心とし、衿腰の高さを半径とする円弧を描き、この円弧上に、〔点14〕からではなく、本件特許明細書の(点14)に相当する〔点7〕からの円弧の長さがg(本件特許明細書にいうtg)に等しくなるように、衿外回り側に求めた点とされるのが正しく、前記〔点15〕に関する出願当初の明細書及び図面の説明は誤つたものであり、且つ、その誤りは明白なものであるということができる。すなわち、出願当初の明細書に記載された前記<省略>の式は<省略>の誤記である。

右の誤記を訂正して解釈し、出願当初の明細書及び図面における〔点15〕は、〔点6〕を中心とし、衿腰の高さを半径とする円弧を描き、この円弧上に、〔点7〕からの円弧の長さがg(本件特許明細書にいうtg)に等しくなるように衿外回り側に求めた点であるとすると、本件特許明細書及び図面における(点22)は出願当初の明細書及び図面における〔点15〕に相当するものであると解することができ、本件特許明細書及び図面における(点22)の作図方法も出願当初の明細書及び図面にも実質上開示されているものということができる。

(四) 以上によれば、本件特許明細書及び図面における点15、22は出願当初の明細書及び図面に実質上記載されていたものということができるから、この点に関する原告の主張も理由がないこととなる。

3 よつて、本件特許発明は、その出願公告決定の謄本の送達前にした補正が、願書に最初に添付した明細書及び図面の要旨を変更するものとは認めることができず、右要旨変更のあつたことを前提とした原告の本件特許発明の無効の主張は、採用することができない。

三 以上によれば、原告主張の取消事由は理由がなく、その他審決にはこれを取り消すべき違法の点を認めることができないので、審決の違法を理由にその取消しを求める本訴請求を失当として棄却することとする。

〔編注1〕本件特許発明の要旨は左のとおりである。

上りの前はし線と任意な衿の折返り線3との交点をDとし、D点を通り前衿ぐり線Eに引いた切線との交点をTとすると共に該点Tから前記衿の折返り線3に垂線を下して交点を12となし、点12より衿の折返り線3の延長線上に点Tから最深み点までの長さに等しい長さで点13をとり、更に該延長線上に点13より衿腰の高さに等しく点14をとり、該点13を中心にして点13、14間の長さを半径とする円弧を描き、該円弧上に点14より〔(弧度区間×片身分衿付円と衿外回り円の円周差)+(弧度区間×衿腰の片身分上下円周差)〕の長さに等しく衿折返り線側に点15をとり、点13と15を結びその延長線上に点13から長さが最深み点から後衿ぐり中心までの長さに等しくなるように点16をとり、該点16を通り点13、16を通る線に直交する線を引き、この線上に点16から衿腰の高さに等しく点17をとり、その反対側に衿幅に等しく点18をとると共に点17及び18より点16、13を通る線に平行な線を引き、次いで点12と16をなめらかな線で結び、次に前記点13を中心とし点14までの長さを半径とする弧線上に点14より(弧度区間×衿腰の片身分上下円周差)の長さに等しく衿外回り側に点22をとり、点13と22の延長線上に点13、16間の長さに等しく点23をとり、点13、23を結ぶ線に直角に引いた線上に衿腰の高さに等しく点24を衿付側にとり、該点24より点23と13を通る線に平行に引いた線上に点23、13間の長さに等しく点25をとると共に、点25と点Tからの前衿ぐり線Eと総合して曲線で結ぶことにより点T、24間の曲線の長さにより衿腰の付け線の長さを得、次いで点23及び点16よりやや内側に点23´及び点16´をとり、該点23´、16´より点Tに至る折り返り曲線に沿つた曲線を引いて上り切替線を形成することにより得られる衿腰に切替えのある衿(別紙図面(一))。

〔編注2〕本件における図面は左のとおりである。

別紙図面(一)

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

別紙図面(二)

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

別紙図面(三)

<省略>

<省略>

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